BOYS AGE新作”エルス”についてのインタビュー by KAZ

*Elseとしてまとめる時に、何か具体的なイメージがありましたか?
始めは、TIGER!TIGER!(*注)の続編として作り始めました。原作では主人公は紆余曲折の果てにある種の救世主になります。その後、漫画とか小説を読んでて、もし救世主(主人公)がエンディング後にも人々によって使い潰されたら、救世主はどう選択するのか、そういったことを歌うことにしました。様々な苦境を乗り越え、悲劇に見舞われながらも悲願を達成したとして、手に入れた目標は求めた通りだったのか?理想と現実のギャップだとか、ありふれたことですがね。聖書関連のこととか少しばかり調べましたよ、ウィキペディアで。
旧約聖書にロトっていう凡人が出てくるんですけど、救世主も所詮は人の子なんだから、まああんま書くと十字軍が飛んでくるので言いませんが、調べてる段階で身につまされました。

世界観というべきか、舞台はポストアポカリプス、風景としてノーティドッグのLast Of Usとかアイアムレジェンドを想像するとわかりやすいです。詳しいストーリーや曲解説は長くなりそうなんで自分のWebにでも書きます。救世主に荒廃した世界ってのはいい組み合わせですよね。冒頭二曲は、夢から醒めて、放棄された車に跨って、苦難を強いられている人々を横目に一人約束の地を目指す、みたいなイメージの曲です。なんのことだか、って感じると思いますが、慣れてください。

音楽的には、一曲目なんてもろヴェルヴェットアンダーグラウンドのCandy Saysですね。この時期脳が腐るほど聴いてた、カート・ヴァイルのWaking On A Pretty Dayも二曲目に影響を与えました。彼は長いフォークソングの在り方を提示してくれましたね。元の曲はかなり昔に作った曲で、長かったんですが一度発表した時は短いパンク曲でした。が、それを再び解体してオマージュしてます。自分なりの解釈で。こういうところはクラシック的なのかもって思います。本職のみなさんからしたら失笑ものでしょうが。
あとはタイトル曲のElseはヨ・ラ・テンゴですね。影響元を同じくするFake Gold Pt.1を再編するつもりで作ったので、厳密には少し違います。あとはThe Memories、Gap Dream、Tomorrows Tulipsは強力な影響元だと思います。現世代のアーティストからの影響が強いと思いますよ。

*注〜 ※Tiger! Tiger!(邦題:虎よ、虎よ)
あるいは『The Stars My Destination(我が赴くは星の群)』は1956年にアメリカのSF作家アルフレッド・ベスターが発表した長編第2作。アレクサンドル・デュマ・ペール(1802-1870)の小説『モンテ・クリスト伯』をモチーフとした一大復讐譚。
また原題はウィリアム・ブレイク(1757-1827)の詩集『無垢と経験の歌』収録の『The Tyger』由来のもの。
Boys Age “Tiger!Tiger!”はカセットのみで発売され、今回CDで発売される”ELSE”にボーナスディスクとして全曲収録されています。

*Calm Timeに比べてギターのドライヴ感が増してますよね?ライヴとか、制作とか、アルバムごとのカラーを変えるとか、狙いがありますか?
作ったのはCalm Timeより何ヶ月も前で、あとで詳しく話しますがTIGER!TIGER!の完成が見えた頃に作り出したんです。ギターが歪んでる理由は、続編意識と、ステレオタイプなスタジアムロック的壮大さを出したかったからです。逆にとにかく狭い箱庭を意識したCalm Timeや続編The Inner Moonは歪みどころかリバーヴも極力排除しています。

*今回はTiger Tigerも収録した2枚組です。理由は?
ここで繋がるわけですが、製作時期やテーマ故に実質双子アルバムなんです。もしちゃんと聴いてくれるならぜひ、虎ちゃんから聴いてください。

*この1年でライヴなどでのアプローチが変わったりしましたか?
アルバム作りとはあんま関係ないんですけど、人間嫌いが加速しましたね。基本的に演奏中は記憶が消し飛んで、多分客を敵視してますよ。よくない兆候ですね。

*普段曲を書く時、曲がおりてくるというような人もいますが、Boys Ageはこの大量の曲をどうやって書いてますか?
ストーリーを決めて、曲数を決めて、ストーリーに沿って当てはめていけばすぐにでも。小説とかのプロット作りと一緒です。森羅万象に興味が持てれば、題材なんぞ苦労しませんしね。降りるとか降ろすとか、それらは、ないです。音楽は、自分にとって心中にある巨岩を彫刻する、うちから湧き出でるものですので。

*Boys Ageのプロデュース力で一番強い!と思うポイントはありますか?
プロデュース力ってのがよくわかりません。作品作りという話で言えば、アートワーク、レコーディングそういった諸々を自給自足できている、DIYなところじゃないですかね。
んー、少なくとも外交関連は壊滅してると思います。横の繋がりの強いインディー界隈で上手くやれてるとはとても言えないですね。

*CDリリースしているMAGNIPHについて
いいレーベルなのに死ぬほど無名なのが許しがたい現実ですよね。HappinessとかCornersとかGap Dream出してくれてるのに。名前を最初覚えれなくてマグニートって言ってました。X-MENでしたっけ。ボスは180近い俺が見上げる巨漢で、刃牙でいうところの、ジャックハンマーに対する猪狩みたいな心境です。初めて会った時は体調を壊してたので、会う前に一回吐いて、春日さんが帰ったあとにもう一回吐きました。体重5キロぐらい減ったな。

*今のBoys Ageに近しいシーンとかあるんですか?
正直シーンと呼べるレベルの物は、少なくとも(不本意にも)我々が括られているインディー全体で見たら無いと思います。バンドシーンで見たら全体のほとんどはJオルタナ/Jポップが占有してるだろうし。ボーカロイドとかアイドルの方がよっぽど成り立ってるように思えます。対立構造とかもあるしインディーより健全じゃないかって思えるぐらい。インディーは閉塞的過ぎるのではないでしょうか。
ゲームセンター全盛の時代にノコノコ遊びに行ったら、古参・ベテランが「はぁ?なにおまえ?」みたいな、閉塞感があって息苦しい気がします。

あとワッショーイ!ウェーイ!って雰囲気も苦手なんですよ。いや、それ自体は見てる分には別にいいのですが、ただ、強要されるのがどうも。

*属してたシーンとか意識はありますか?あるとしたらどこのシーンでしょうか?
自覚的なものはほぼないですね。バンドを始めた当初ですら、周りには無かったし、今となっちゃ、どこにもないでしょう。

*共感できる日本のアーティストを教えてください。
思想の一部ずつでみたら共感できない相手って居ないと思うんですよね。並んで歩ける相手も居ないけど。強敵と書いて「友」と呼ぶって素晴らしいですよね。

*Boys Ageにとって特徴的な場所/エリア/ショップなどはありますか?
ないっすわー。自分の家とタカマサの車ぐらいかな。あと北浦和のラーメン屋ツバメ軒。ムカつく場所なら脳が焼け落ちるほどあるんですが。

*最近の活動について
TIGER!TIGER!も結局年明けにリリースしたってことで考えると、今年は一月に一マイペースでアルバム作ってるんですよ。超働いてるなー。自分で自分を褒めてあげたいですね。

*R.Stevie Mooreはじめ、海外アーティストとのコラボについて
「BURGER RECORDSは全員じゃないが幾人かの人生を狂わす」みたいな文言をどっかで見て、そん時Rスティーヴが脳をよぎったんですよ。彼ってもっと小規模なあぶれものにとってのソレだなって。父親はエルヴィスのバンドでベースを弾いてたっていうエピソードも面白いですよね。当人らからしたら娯楽にするな!って感じかもしれないですけど。
「Be Your R.Stevie Moore」は僕らにとってのそういう人間に対して「Boys Ageがここに在るから安心しろ」みたいな風に歌ってます。そしたらRスティーヴが気に入って、いやはや、随分かかったけどようやく10月に7インチリリースです。Rスティーヴの新作にも収録されてるんですよ。WFMUに友人がいるそうで、よく流してもらってます。
https://rsteviemoore.bandcamp.com/album/fifteen-tons

先日アップした曲以外にも未公開を含めて、Sonny Smithともいくらかコラボしました。よく知らんですけど、前からBoys Ageのことは知ってたそうです。そんなことを来日の時に言ってました。その時彼の後ろで叩いてたJordいtteって男が僕らのファンのようで、その線もあったかもしれませんが。
のちにソニーから「なんかやって」みたいなメールと曲が来て、そのあとお返しに参加してくれって頼んだんですよ。
彼の曲にも参加してるんで、採用されたらどんな形になってリリースされるか楽しみです。次があれば共演したいけど、Boys Ageの集客力では国内では無理でしょうね。
https://soundcloud.com/boys-age/celestian-feat-sonny-smith

それからLAのGnar TapesでLove CopってバンドやってるChill Philの曲にも参加しました。国外アーティストでは彼がはじめてのコラボなんですけど、ソニーもそうですが、意外にもボーカルを求めてきたという。嬉しい話ですよ。ZZトップみたいなルックスですけど繊細な音楽をやる奴で、上述の二人も併せてみんな演奏は糞下手ですけど独創的で良い音楽家達ですよ。
https://chillphilstilltrill.bandcamp.com/track/nickel-arcade-ft-boys-age

*ライヴについて
名古屋行ったり大阪行ったり福島行ったり、二人会にでたりO-nestに出たり、ちょこちょこお仕事をいただくことも増えてきました。集客という観点では糞ほど役に立ってないので次があるかは不明なのですが。見知らぬ土地や環境で演奏するってのは良いですね。もっといろいろなところ行きたいんですけど、経費を吐き出させるにもこのザマでは。借金して整形してアイドルとして出直そうかな。

*最近一番気に入っている音楽作品は?
こういう話もっとしたいんでなんかファッション雑誌とかの仕事ください。今年もたくさん既に良いのがあったんで、とりあえず8月に特に良く聴いたやつをあげると、

・The Memories/Home Style
・The Future Dead/Feelinga
・Enjoy/Punk Planet
・Mac DeMarco/Some Other Ones
・Guantanamo Baywatch/It’s Too Late
・H.Hawkline/
・A Grave With No Name/Black Sage

他にもThe Yetis、Slow Hollows、Winter、Echo Lake、Crepes、Travis Bretzer、Brave Raderとか。でもそんなに真新しいジャンルは開拓してないんですよ。暇が無くて。

あとなんでか後輩の女の子のやってるスプールっていうJロックバンドの古いシングルはなぜか聴いちゃった。上記と比べると異質に感じると思いますよ。普通のJオルタナなんで。

*日本のアーティストで一番”かなわないな”と思うアーティストはいますか?
明日の自分。音楽界の範馬勇次郎ですから。そもそも自分以外へ敗北を認める意味が解らない。

*一番音が良いと思ったレコードは?
人生で一番て意味なのだったら、TelevisionのMarquee MoonかYo La TengoのFadeかKurt VileのWaking On Pretty Daze。
今年だったらFree WeedのIntroducing。

*カセット、CD、レコード、ダウンロ−ドコードなどありますが、どのメディアが一番自分たちに合っていると思いますか?
現存の手段ならリリース量から言ったらDLコードとカセットが一番あってます。もっとも資本がかからず数が打てると思うので。
でも一番なら、月額300円で全アルバムをストリーミングできる専用チャンネル、でしょうね。出したいのはレコードですが、これは資本が無い。資本主義は素晴らしいですね、まったく。

2015年9月 by Boys Age

Boys Age YOUTUBE channelはこちらです!
https://www.youtube.com/user/prettygoodlookings1/videos